【速報】共和党、トランプ氏正式指名 副大統領候補に39歳バンス氏
2024年07月16日 13時00分
米共和、トランプ氏を指名 副大統領候補はバンス氏―「団結の機会つかむ」
時事通信 外信部配信【ミルウォーキー(米ウィスコンシン州)時事】11月の米大統領選に向け、共和党は15日、中西部ウィスコンシン州ミルウォーキーで開幕した全国大会で、トランプ前大統領(78)とバンス上院議員(39)を正副大統領候補に指名した。トランプ氏は銃撃で負傷したことを踏まえ、最終日18日の指名受諾演説で「米国の団結」を強く呼び掛ける方針だ。
トランプ氏の指名は3度目。米メディアによると、大統領経験者が落選後に返り咲けば、クリーブランド大統領以来132年ぶりとなる。民主党ではバイデン大統領(81)が指名を確実にしているが、高齢不安を理由に出馬断念を求める声が高まっている。
トランプ氏は15日夜、大会に出席。13日に東部ペンシルベニア州で演説中に銃撃されて以来、公の場に初めて姿を現し、大歓声に包まれた。4年前の党大会では初日に演説を行ったが、今回は支持者らに何も語り掛けなかった。
トランプ氏はこれに先立ち、保守系メディアに「銃撃(事件)で米国を団結させる機会が与えられた」と説明。バイデン政権への対抗を意識して準備していた指名受諾演説を大幅に書き換えたと明らかにしている。
副大統領候補に起用されたバンス氏は、2022年の中間選挙で中西部オハイオ州から出馬し、トランプ氏の支援を受けて初当選した。トランプ氏は自身のSNSで、バンス氏が白人労働者階級の家庭で育った経験や海兵隊に勤務した経歴を挙げ、「副大統領の地位に最もふさわしい」と紹介した。
ニューヨーク発
2024年07月16日
米国のドナルド・トランプ前大統領は7月15日、共和党全国大会で同党の大統領候補に正式指名された。トランプ氏は共和党内の予備選挙を通じて2024年3月には指名獲得を事実上確実にしていたが(2024年3月7日記事参照)、ウィスコンシン州ミルウォーキーで開催中の全国大会で、選挙代議員による投票が行われ、代議員全体の98%超の2,387人を獲得した。
トランプ氏は指名受諾演説を全国大会最終日の7月18日に実施する予定だ。同氏は7月14日に現地紙の取材に応じ、前日13日の選挙集会で発生した銃撃事件(2024年7月16日記事参照)を踏まえ、「これは全米、全世界を1つにする機会だ。演説は2日前(7月13日)とはかなり違うものになるだろう」と述べ、銃撃事件を踏まえて演説内容を書き直すと述べている(ワシントン・エグザミナー7月14日)。
副大統領候補にはバンス上院議員
また、トランプ氏は代議員による投票が行われている最中に、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿を通じて、J.D.バンス上院議員(共和党、オハイオ州)を副大統領候補に指名したと発表した。同氏は投稿で、「熟考を重ね、他の多くの人々のすばらしい才能を考慮した結果、米国副大統領の地位に最も適切な人物は、偉大なオハイオ州のバンス議員だと決断した」「バンス議員は、われわれの憲法のために闘い、われわれの軍隊とともに立ち、私の『Make America Great Again(MAGA、米国を再び偉大に)』の目標を実現するために全力を尽くすだろう」と述べている。
バンス議員はオハイオ州ミドルタウン出身、39歳。同氏のウェブサイトによると、米国海兵隊に入隊しイラク戦争に従軍したのち、オハイオ州立大学、イェール大学ロースクールを卒業した。2016年には回顧録の「ヒルビリー・エレジー」を出版、動画配信サービスのネットフリックスでは同書を原作とした映画も製作された。2022年11月の米国中間選挙で初当選し、2023年1月から現職。バンス氏はいわゆる「MAGA」と呼ばれるトランプ氏の支持者(注)とされ、米国シンクタンクのブルッキングス研究所は、同氏を「トランプ氏のメッセージとアイデンティティーを強化する候補者」「トランプ氏が巻き起こした共和党の変質を象徴する人物」と指摘している(ブルッキングス研究所6月5日)。また、ワシントン・ポスト紙は、「MAGA的な路線を進む手助けをしてくれる人物を望んでいるなら、バンス氏はうってつけの人物だ」「バンス氏の年齢も、民主・共和両党が史上最高齢の候補者を擁立する選挙では説得力を持つだろう」と指摘する一方で、政治経験が浅いことを課題視したほか「トランプ大統領が取り込みたいと考えているスイング(投票先を決めかねている)有権者を疎外する可能性があることを示唆している」との影響も指摘している(「ワシントン・ポスト」紙電子版7月9日)。
なお、党大会では共和党の政策綱領も正式に採択された。政策綱領は7月8日に、トランプ陣営によって発表されていた(2024年7月9日記事参照)。
(注)元はトランプ氏の選挙キャンペーンのスローガンだが、トランプ氏の支持者を表現する際にも用いられる。
(葛西泰介)
(米国)
ビジネス短信 bebebdfc37ab9f32
米共和党が政策綱領発表、中国との恒常的正常貿易関係の撤回など表明
(米国、中国)
ニューヨーク発
2024年07月09日
米国共和党のドナルド・トランプ前大統領の選挙陣営は7月8日、同党の2024年の政策綱領が党全国委員会で承認されたと発表した。厳しい国境措置や減税、中国との恒久的正常貿易関係(PNTR)の撤回など、これまでトランプ氏が公言していた内容を反映した。今回承認された綱領の草案の一部は、トランプ氏自身が執筆したとされている(政治専門紙「ポリティコ」7月8日)。
前回の2016年の政策綱領は66ページに及んだが(注1)、今回は16ページと大幅に短縮された。トランプ陣営のシニアアドバイザーのクリス・ラシビータ氏とスージー・ワイルズ氏は声明で、今回の政策綱領は「米国を再び偉大にするという(トランプ氏の)ビジョンを、全ての有権者にとって簡潔で消化しやすいかたちで明確にしている」と述べた。
綱領では、共和党が大統領選挙で勝利し、連邦議会上下両院で多数派を獲得した場合に、「速やかに達成する20の約束」として、「国境を封鎖し、移民の侵入を阻止する」「米国史上最大の強制送還作戦を実行する」「インフレを終わらせ、米国に再び手頃な価格をもたらす」「米国を世界有数のエネルギー生産国にする」「アウトソーシングをやめ、米国を製造大国にする」「電気自動車(EV)の義務化を中止し、高コストで負担の大きい規制を削減する」などといった20項目を挙げた(添付資料参照)。
政策綱領では20の約束のほか、「インフレを打破し、全ての物価を速やかに引き下げる」「国境を封鎖し、移民の侵入を阻止する」「米国の労働者と農民を不公正貿易から守る」など、10の項目について政策方針も記載した(添付資料参照)。そのうち不公正貿易の箇所では、貿易をリバランスさせるため「共和党は外国製品に対するベースライン関税(注2)を支持し、トランプ互恵通商法(注3)を成立させる」とし、関税収入を上げることで米国の税金は下げられるとした。中国に対しては、「最恵国(MFN)待遇を撤回し(注4)、必要不可欠な商品の輸入を段階的に停止し、米国の不動産や産業の買収を阻止する」として、中国からの戦略的独立を訴えた。自動車産業に対しては、バイデン政権で課された規制やEV購入義務の撤廃、中国車の輸入阻止などによって、「米国の自動車産業を復活させる」とした。そのほか、重要なサプライチェーンの米国回帰や、「バイアメリカン・ハイヤーアメリカン」に対する共和党の支持も明記した。
大統領選挙の争点の1つとなっている人工妊娠中絶については、「遅い時期の中絶に対しては反対する」と述べるにとどめ、「妊婦検診、避妊具へのアクセス、IVF(不妊治療)を推進する母親と政策を支援する」と記載した。
共和党の全国大会は7月15~18日にウィスコンシン州ミルウォーキーで開かれる。その場でトランプ氏が正式に共和党の大統領候補者として指名され、副大統領候補も正式に決定する予定となっている。
(注1)共和党は2020年の選挙時には、政策綱領を発表しなかった。
(注2)トランプ氏が公言していた全世界からの輸入に一律10%の関税を課すこと。
(注3)米国へ輸出する国がある製品に対して課している関税率と、同じ関税率を米国輸入時にも課す法案。
(注4)恒久的正常貿易関係(PNTR)の撤回を指す。PNTRのステータスがあることで、MFN税率が適用される。
(赤平大寿)
(米国、中国)
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