アメリカの対応
これらの懸念から、ファイブアイズ加盟国を中心に中国通信機器の締め出しが始まっている。特にドナルド・トランプ政権下のアメリカ合衆国は、中華人民共和国による産業・軍事スパイ行為[注 3][注 4]に警戒感を顕にした[14][21]。2018年に成立した2019年度国防権限法(英語版)においては、ファーウェイやハイクビジョンなど、5G・監視カメラ・人工知能(AI)関連の中国企業5社に対する政府調達禁止が盛り込まれた。さらに2020年8月には、マイク・ポンペオ国務長官が通信キャリア・アプリ・クラウド・海底ケーブルの分野で"クリーン"なネットワークを同盟国と構築するとする「クリーンネットワーク計画」を発表。2020年9月現在、30カ国以上の国の企業がこれに参加[注 5]する一方で、5Gで先行するファーウェイなどをはじめとする中国企業を事実上排除する動きが広がっている[23][24][25]。
またアメリカ合衆国司法省は、連邦捜査局(FBI)と合同の対策チーム「チャイナ・イニシアチブ」を設立して中華人民共和国の産業スパイの取り締まりを強化[20][26]。
国際ジャーナリストの山田敏弘氏によれば、180名ほどの中国人留学生らがFBIの捜査対象となり、追及を恐れた女子学生がサンフランシスコの中華人民共和国総領事館に逃げ込み、家宅捜索で発見された軍人の身分を隠して入国していたことを示す人民解放軍の制服を着た写真を提示して、引き渡しに応じさせるという一幕もあったという[21]。
アメリカ国内の大学や研究機関に所属する中国人の監視やビザの有効期限の大幅短縮などの措置をとられ、実際に中華人民共和国の諜報員であるとされる人物の逮捕にも至っているが、司法省検事は「氷山の一角にすぎない。中国は国家ぐるみで犯行に及んでいる」としている[20]。このような摘発が続けられる最中、量子物理学の第一者でシリコンバレーで投資会社[注 6]を設立した張首晟が自殺している[20]。