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しばらくかかりそ。サグラダファミリアより遅くなるかも。

中日社説:マイナカード 性急に運用拡大するな

www.chunichi.co.jp

2023年6月7日 05時05分 (6月7日 05時05分更新)


 健康保険証を廃止してマイナンバーカードに一本化する改正マイナンバー法など関連法が成立した後も、カードを巡るトラブルが相次いで発覚している。
 岸田文雄首相は信頼回復に向けシステムの再点検やミス防止策の徹底を河野太郎デジタル相に指示したが、問題点を徹底的に洗い出し、国民の不信が払拭されるまで運用拡大は見合わせるべきだ。


 マイナカードを巡ってはこれまでも、コンビニでの別人の証明書交付やマイナ保険証への他人の情報ひも付け、マイナポイントの誤った付与などのトラブルが明らかになり、改正法成立後も、希望しない人へのマイナ保険証発行や別人のカードへの公金受取口座登録などが次々と明るみに出た。


 国民の多くは特に、健康保険証がマイナ保険証に一本化され、現行の保険証が廃止されることへの懸念を募らせている。


 全国保険医団体連合会のアンケートでは、高齢者施設の九割以上が申請の代理や暗証番号を含むカードの管理はできないと答えた。独居や寝たきり高齢者のマイナ保険証管理はより困難だろう。


 個人情報のデジタル化には政府と国民との信頼が不可欠だが、マイナカードは前身となる住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)のカードと同様、国民側の必要性から生まれたものではない。


 カード取得率が低いと見るや、政府はポイント付与というなりふり構わぬ普及策を講じ、最後には「取得は任意」という前提を覆して、健康保険証廃止という事実上の強制に転じた。これではとても信頼は得られまい。


 これまでに発覚したトラブルの原因は、システムの不具合や人為ミスなど多岐にわたり、性急なカード普及策のしわ寄せがきていることは否めない。


 事業の受注企業は下請けに丸投げし、自治体の現場は混乱した。トラブルの一部は昨年発生したにもかかわらず、各担当大臣への報告は今年五月に入ってから。政府が監督責任を果たしていなかったことも混乱の一因だろう。


 政府は二〇二六年中にも券面に記載する情報を見直し、プライバシーに配慮した内容とする新しいカードの導入を検討しているという。それまでは性急に運用を拡大せず、制度の抜本的な見直しに充ててはどうか。少なくとも現行の健康保険証は維持すべきである。