艤装してます

艤装してます

しばらくかかりそ。サグラダファミリアより遅くなるかも。

英語スピーキングテスト(ESAT-J)の入試利用中止を求める怒りの記者会見

 (2月20日 都庁記者クラブ
保護者の会・中止を求める会 共催

www.youtube.com

 

 

不受験の方が有利になるケースも? 都立高入試の英語スピーキングテスト「逆転現象」のカラクリ〈AERA
1/27(金) 8:00配信

 都立高入試に導入された中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)で起こる「逆転現象」が、受験生を不安にさせている。不受験者が受験者の点数を上回る可能性があるテストは、「公平な入試」と呼べるのか。AERA 2023年1月30日号の記事を紹介する。

 

記事詳細へ

 

 今、受験生を不安にさせているのが、「逆転現象」である。稲城市在住の中学生の保護者(40代)はこう語る。

 

「『逆転現象』は、今回の入試制度の不備。都立高入試全体への不安にもつながっています」

 

「逆転現象」とは、不受験者に「仮のESAT-J結果(以下、仮結果)」を与えることで、不受験者が受験者の点数を上回り、合否の逆転が起こる可能性があることだ。そのカラクリとは、どのようなものなのか。

 

1点差が4点差になる

 

 都立高校に英語教諭として15年間勤務し、シミュレーションを用いて「逆転現象」の検証を続けている英語講師の松井孝志氏は、そもそもESAT-Jで付与される「グレード点」が問題だと指摘する。

 

 最初100点満点だった「生スコア」は、AからFまで六つの「グレード点」に換算される。Aは20点、Bは16点と4点刻みでFは0点。例えば80~100点を取った生徒はAで20点が与えられ、一方、79点だとBで16点となる。つまり100点の生徒が80点の生徒に対してつけた20点の差は、換算後には「0点差」となり、79点の生徒の80点の生徒に対する1点ビハインドは「4点差」に広がるというのだ。1点が合否を分ける入試において、換算方法でその差がなくなったり増えたりするという。

 

「不受験者が多いことも問題です。ESAT-Jの制度上、受けたくても受けられない生徒が一定数いる上に、受験予定だった生徒の1割がテストを欠席したといわれています」(松井氏)

 

 ちなみに不受験者に与えられる「仮結果」は、「他の受験生の結果」から算出される。つまり不受験の場合、合否は「他人の点」によって決まるというのだ。いったいどういうことなのか。

 

わかりにくい算出方法

 

 都教委は不受験者の「仮結果」の算出方法を公開している。「2月の英語学力検査(筆記試験+リスニング)の点数が『同じ点』あるいは『前後の点』の、『他の受験生のグレード点の平均値』で求める」というが、非常にわかりにくい。

 

 松井氏によると、「同得点の者が10人以上いれば、その平均値を求める」のが都教委の基本方針だという。では、10人に満たない場合はどうするのか。

 

 その場合は「同点者を除き、上下1点刻みで5人以上となるよう、対象者を拡大していく」という。例えば表の例では、ESAT-J不受験者の英語学力検査の得点が75点で、上下にそれぞれ対象者を拡大している。この場合、「仮結果」算出の対象となる生徒の平均点は75.09点となり、不受験者本人の得点とほぼ同じとなる。

 

 しかし不受験者が99点を取った場合、本人よりも下位の得点の生徒が「仮結果」算出の主な対象となる可能性が高い。つまり自分より下位にいる生徒の点数を基準として「仮結果」が算出されることになってしまう。

 

 とはいえ、頑張ってESAT-Jで高得点をとった受験生もいる。もし、その結果を入試に反映させないとしたら、その子たちがかわいそうということにはならないだろうか。

 

 表の中で、不受験者より下位に位置しているAを獲得した生徒に注目すると、不受験者にAが付与されたことで、この子たちが不受験者を超える見込みがなくなったのがわかる。さらに、不受験者より上位に位置するBの子は全て、不受験者より順位が下がってしまうのだ。グレード点は4点刻みのため、「英語学力検査」の2点差では、不受験者に逆転されてしまうという。松井氏は言う。

 

「不受験者のグレード点を押し上げたのは、他ならぬ『頑張った子』たちです。『頑張った子がかわいそう』という指摘は、ESAT-Jの結果を入試に反映させた場合にも起こり得ます」

 

最大で16位の入れ替え

 

 このような「逆転現象」は上位層だけで起こるわけではない。

 

「頑張ったというと、高得点の子ばかりをイメージするかもしれません。しかしこれはあらゆる得点帯で起こり得ることです」

 

 松井氏によると、順位の変動が大きい学校があるという。
「都外や海外からの受験生が多い一部の高校では、順位の変動が大きくなり、カオスです」

 

 公表されている過去のデータによると、「都内公立中出身者以外」の合格者に占める割合が、9~15%にのぼる高校もある。彼らにはESAT-Jの受験資格がない。不受験者を12.5%とした松井氏のシミュレーションでは、最大で16位ほどの入れ替わりがあったという。

 

「少なく見積もっても5人~10人分の入れ替わりがあり、そしてそれは合否ラインでも起こるでしょう」(松井氏)

 

 倍率が2倍ほどの学校では、合否ラインに受験生が集中する。そこで「逆転現象」が起きたとしたら……。ちなみに「逆転現象」が生じる可能性は、都教委も「入試改革を考える会」の公開質問状に対して、「起こり得ないと限定するものではないと考えます」と回答し、認めている。

 

 都立高校側は、どう考えているのか。日比谷高校校長の梅原章司氏に意見を聞くと「(ESAT-Jについては)よくわからない」と回答。都教委は一貫してインタビューの申し出には応じない。

 

 今回ESAT-Jを受験した文京区の中学3年生は言う。

 

「自分の努力が足りなくて落ちてしまったなら仕方ないと思える。しかし自分では自信があったのに、結果がダメだった場合『不受験者がいたからか?』と思ってしまう。これでは結果に納得することはできない。入試なのだから、平等に点数をつけてほしい」

 

 そして「逆転現象」が起きたとしても、受験生にそれを知る術はない。

 

 受験生が望んでいるのは、透明性のある公平な入試。ただそれだけだ。(ライター・黒坂真由子)

 

AERA 2023年1月30日号より抜粋

 

dot.asahi.com