2023年02月21日07時04分
【ワシントン時事】ロシアのウクライナ侵攻から1年となるのを前に、バイデン米大統領が戦時下の首都キーウ(キエフ)を電撃訪問したのは、米国がウクライナを支援し続ける決意を内外に示すためだ。
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20日の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、バイデン氏はポーランド国境から列車で約10時間かけてキーウ入りした。
バイデン氏は18日夜にジル夫人と外食。19日未明、ひそかにワシントン近郊のアンドルーズ空軍基地から大統領専用機で離陸した。ホワイトハウスは19日、バイデン氏が20日夜にポーランドに向けて出発する予定を確認していた。
CNNテレビによると、バイデン氏のウクライナ訪問は政権内部で数カ月にわたり検討されてきた。最終決断は17日に下されたという。米政府高官は20日、記者団に「ロシア側に事前通告をした」と明らかにした。ロシア側の反応には言及しなかった。
ロシアがウクライナに侵攻した後、ドイツやフランスなど欧州の指導者はキーウに足を運び、ゼレンスキー大統領と会談、戦禍の街を視察してきた。一方、バイデン氏はこれまで、安全保障上の理由やロシアへの挑発を避けるため訪問を控えていた。
ただ、米国内で野党共和党がウクライナ支援に慎重姿勢を見せているほか、戦争終結の和平交渉の見通しは立っていない。一部で「ウクライナ疲れ」も顕著になっており、バイデン政権は対応を迫られていた。
バイデン氏はキーウで行ったゼレンスキー氏との共同記者会見で「米国のウクライナ支援について、いかなる疑いも持たれないことが重要だ」と強調。その上で「国家の独立、主権、領土保全への揺るぎない支持を示すためにここにいる」と主張した。
米大統領の戦時下の国への極秘訪問は、最近では2003年のブッシュ(子)大統領のイラク訪問、10年のオバマ大統領によるアフガニスタン訪問などがある。ただ、ウクライナとは異なり、イラクとアフガンには当時、米軍が駐留していた。