雪印の元社長でしたっけ?
河野太郎を廃止して、マイナを辞職させろ云々の書き込みが大量発生。
神戸新聞NEXT 6/18(日) 8:30配信
「デジタル保存をすればよいのでは」。各地で廃棄が判明してから、事件記録の電子化は、たびたび指摘されてきた。だが最高裁は5月の調査報告で、紙の記録を電子化して保存するのを事実上見送った。記録を全て電子化しようとすれば、作業量もデータ量も膨らみ、「国民の負担で行うのが相当か慎重に検討が必要」と否定的な考えだった。保存場所の不足は電子化で解消できる。スキャン精度の向上や画像の文字を自動で読み取れる機能など、デジタルの利便性が広く知られる中、なぜ難色が示されたのだろうか。
■10年がかり
実は四半世紀前、大変な手間と費用をかけ、学者らが裁判文書を電子化したプロジェクトがあった。対象は、明治23(1890)年までの民事裁判の判決原本。最高裁の内規変更により廃棄されそうになった記録を、国立大学教授らが救ったものの一部だ。1997年度から4千冊余りの簿冊を電子化し、10年がかりでデータベースを作った。
多くの原本が和紙に毛筆で書かれていた。簿冊を分解する前には、復元時にミスが出ないよう7カ所を撮影。とじ穴の位置や虫食い、絵図の有無などを逐一記録し、複雑な折りたたみ箇所があれば、別紙に展開図を作成した。
また、検索用項目を精査し、画像データと別に管理データを作成。パソコン10台、スキャナー8台などを駆使して、約55万件のデータベースができた。費用は国の補助金を充て、数億円を要したという。
当時作業に携わった東京大学法学部の新田一郎教授(日本法制史)は「人名検索では、特定の裁判官が関わった裁判を追うこともできるし、特定のテーマに対する訴訟が当時どれほどあったのかも『量』で分かる」と利点を語る。
■媒体の変遷
一方、「電子化には『データへのアクセス』と『保存』という二つの側面がある」と話すのは、内閣府が設置する公文書管理委員会の元委員でデジタルアーカイブに詳しい筑波大学の杉本重雄名誉教授(情報学)だ。事件記録には、差別につながる個人情報が含まれることがあり、とりわけ電子化には、好ましくない利用者のアクセスを防ぐ仕組みが重要となる。
また、たとえばフロッピーディスクが現在ほとんど流通していないように、メディア(媒体)の変遷にも注意が必要だ。杉本名誉教授は「データを壊さず残すだけでなく、ソフトや機械もなければ解読できない」と指摘。定期的に新しい規格に変換するなどし、次世代につないでいく不断の努力が求められると説く。
■改ざん容易
最高裁の記者会見は、紙を使わない司法手続きの全面電子化に向けた準備にも話が及んだ。だが、小野寺真也総務局長は「電子化された後の記録保存の在り方は特に議論していない」と述べ、将来的な展望は口にしなかった。
ただ、世の中に手書きの文書はほとんどなく、記録が全て電子データになる日は近い。紙に自筆で書かれた文書と異なり、元からデジタルの記録は、改ざんが容易で、誤って簡単に消去されうる危険性もはらむ。杉本名誉教授は、デジタル文書では、どのような変遷をたどってきた記録かという付随データが求められると強調する。
新たな時代を見込んだ動きもある。パスポートや紙幣、官報などの印刷を手がける国立印刷局(東京都)は、行政文書の電子化に取り組み始めており、裁判文書の電子化でも協力を模索している。
(霍見真一郎)