艤装してます

艤装してます

しばらくかかりそ。サグラダファミリアより遅くなるかも。

なんて誠実さあふれる暴走ぶり、

現代の関東軍は、横紙破りなアンビルドの女王の方だったか。

JSCが ”モリモト&セイワな仲間達”に過剰適応していたのは間違いないだろうが‥





新国立競技場整備計画経緯検証委員会検証報告書
(平成27年9月24日 新国立競技場整備計画経緯検証委員会)
p46-48

http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2015/09/24/1361944_1_1.pdf

第4章 本プロジェクトの問題点の検証(検証事項2)
 2.各論
 (3)設計・工事に係る調達方法に関する問題点
  ②ザハ・ハディド事務所設計JVとの役割分担について


 JSCザハ・ハディド事務所との間でフレームワーク設計、基本設計、実施設計、施工の各段階でデザイン監修業務契約を締結し、
設計JV
との間では同様にフレームワーク設計、基本設計、実施設計の各段階で設計業務委託契約を締結している。
ここでは、デザイン監修者と設計JVの間での業務の重複、日本と英国との間で設計業務に関する認識の違いとそれに基づく役割分担の整理が難しいこと等により、意思決定等が遅れた可能性がないか検証する。


 まず、JSCザハ・ハディド事務所との契約について検証する。
「デザイン競技の募集要項20.デザイン監修、設計及び工事との関連」で、

(1)最優秀者は、デザイン監修を行う

(2)デザイン監修は、本募集要項4.2に示した事項に関して、提案のとおりに基本・実施設計及び施工が実施されているかを確認し、必要な場合には、修正提案を行い、また、本募集要項4.2に示した事項に関する基本・実施設計者及び施工者の要望や質疑について回答などを行うことをいう

(3)基本設計及び実施設計設計者は、今後、改めて公募型プロポーザルを行い選定する

とある。これを受けて、平成25年2月26日にJSCとザハ・ハディド事務所の間で交わされた確認書(MOA:Memorandum of Agreement)では、

(基本設計及び実施設計並びに施工段階における最優秀者の関わり)
第3条
基本設計及び実施設計並びに施工段階における乙の関わり方に関する具体的な条件については、両当事者合意の上、決定する。

基本設計及び実施設計の設計者並びに施工者は、甲が別途定める方式により、それぞれ選定される。

とある。ここに「デザイン監修」の語はない。しかし、英語の正式な確認書には「supervise」の語が使用されている

 また、実際のフレームワーク設計、基本設計、実施設計におけるデザイン監修業務契約においては、英語で書かれた契約書のみであり、その契約書には基本設計段階を例にとれば「Design Consulting Agreement for Schematic Design」と書かれている。また、ザハ・ハディド事務所では、本プロジェクトのデザイン監修を英語で「Design Supervisionとしているとのことであった。このように、日本語と英語で意味する内容がずれることは、日本と英国で社会のしくみや制度が異なることから容易に想像できる。このことが実際に問題となるかどうかは、その事実を認識した上で、如何に「ずれること」を解消するか否かにかかっている。

 また、日本では建築士法第3条において、「建築士でなければできない設計又は工事監理」が規定されているが、どこまでの業務が「建築士でなければできない」業務なのかを英語で特定することは難しい。

 また、上記の「デザイン監修」も日本の建築関連法体系にはない用語であり、混乱が生じた可能性がある。
1つの混乱はザハ・ハディド事務所が「Design Consultant」として行う業務は日本でいう「建築士でなければできない設計又は工事監理」に入っていないかどうかであり、
2つめの混乱はザハ・ハディド事務所が契約上の義務であり権利であるとして英国でいう「Design Consultant」業務をすることを要求しないかどうかである。

 一方、JSCと設計JVとの契約においては、ザハ・ハディド事務所とのそれのような混乱はない。しかし、設計に係る契約は多く、しかも英語での契約もあり、担当者には相当な負担がかかったことは想像に難くない。その結果は、設計業務委託契約書(実施設計業務)及び設計業務委託特記仕様書〈実施設計〉を例にとれば、前者では契約書第1条に「設計業務委託特記仕様書」とすべきところを「発注者支援業務仕様書」とし、後者では「7.業務の実施(1)⑤別途発注する発注者支援者が発注者の指示に基づき実施する設計内容等の確認及び全体工程表の作成・進捗管理等に協力すること。」と記載すべきところを「設計図書確認業務」と特記仕様書に書くなどの誤記入が散見される。

これらによるトラブルや問題が発生したという事実は報告されていないが、この場で指摘しておきたい。




次に、以上のような状況の下で、ザハ・ハディド事務所設計JVとの間での設計業務並びにデザイン監修業務どのように役割分担されたか検証を行う。

 平成25年8月5日にザハ・ハディド事務所で第1回のワークショップが開かれた。テーマは、1)ボリュームスタディについて、2)コストについて、3)協議事項について、4)作業スケジュールについて、5)作業体制についてであり、出席者はJSC、ザハ・ハディド事務所、設計JVであった(後の打ち合わせには発注者支援者も出席することとなる。)。フレームワーク設計業務契約、それに係るデザイン監修業務契約がJSCと締結された直後である。こうして、契約書、MOA等での日本語と英語、多国籍なメンバー、有識者会議からの多種多様な要求項目、これらを徐々に解決・解消するためにフレームワーク設計の一環としてワークショップが開催されている。その後は、英国でワークショップも開催されている。
 このワークショップを出発点として、ザハ・ハディド事務所と設計JVの役割分担も徐々に明確になっていったと考えられる。ヒアリングによれば、基本設計段階まではザハ・ハディド事務所がデザイン競技最優秀者として設計者としての領域にまで踏み込み、実施設計に移行するなかでデザイン監修業務に専念する方向に動いている。この概略の分担関係を確認するまでに要した人的・時間的負担は相当なものであった

 両者の業務分担に関しては、フレームワーク設計、基本設計、実施設計、それぞれの段階において分担表が作成されている。初期にはボール形状等のスタジアム計画、施設規模の設定や競技用施設等の施設計画の一部やファサードについて、デザイン監修者であるザハ・ハディド事務所が主担当で設計JVが副担当となっている。一方、電気設備設計や音響等のエンジニアリングデザインや施設計画のうち安全性、セキュリティ等については設計JVがはじめから全面的に担当している。そして、基本設計がある程度進んだ段階では、すべての主担当が設計JVとなっている。この分担表によって、契約及び特記仕様書上の「デザイン監修と設計の仕分け」、「参照すべき仕様書の食い違い」等の問題が解消されたと考えられる。

 しかし、ヒアリングでは、上記のように当初は役割分担が明確でなく、ザハ・ハディド事務所と設計JVの双方で、近い内容の作業を行い、ワークショップで意見交換するなど、渾然一体となっていたとの指摘もあり、フレームワーク設計で設計与条件がなかなか確定せず、様々な与条件を検討しながら基本設計段階に入ってしまったために、それぞれの完了時期が2~3ヶ月程度遅れている

 これらとともに設計段階に投入されるJSC及び設計JVのスタッフ数が足りないことがそれに拍車をかけ、施設計に入るタイミングが3ヶ月程度遅れる結果となってしまったと考えられる。

 以上をまとめると、大規模で、技術革新的内容がある国際プロジェクトであること、
設計段階に関与する主体が多種・多様であることから、周到な事前の準備が欠かせないところであったが、JSCにその認識がなく、とりわけ、契約関係の業務遂行には甚だ問題が多い。これらはプロジェクト推進体制の脆弱性、経験不足に起因するものと思われる。



第2章 本プロジェクトの関係者について
本プロジェクトの主な関係者・関係機関は以下のとおりである。
(PDF P07)


3.デザイン監修者
 デザイン監修者は、平成24年に開催された新国立競技場基本構想国際デザイン競技の最優秀賞に選ばれたザハ・ハディド氏の事務所(Zaha Hadid Architects(以下、ザハ・ハディド事務所))であり、平成25年8月よりデザイン監修の業務を行っていた。
(PDF P11、12)

5.設計JV
 設計JVは、ジョイントベンチャーである「日建設計・梓設計・日本設計・アラップ設計共同体」であり、平成25年5月よりフレームワーク設計、基本設計、実施設計の業務を行っていた。JSCとの契約における対象業務については、新国立競技場整備及び環境整備に関わる設計条件の整理や基本設計方針の策定等(フレームワーク設計段階)、新国立競技場整備及び環境整備に関わる基本設計図書の作成や概算工事費の検討等(基本設計段階)、実施設計方針の策定や実施設計図書の作成、概算工事費の検討等(実施設計段階)と規定されている。

 また、特記仕様書の中で、デザイン監修者や発注者支援者との関係に関しては以下のように規定されている。
  ・ 別途発注する発注者支援者が発注者の指示に基づき実施する業務に協力すること
  ・ 別途発注するデザイン監修者と相互に対等な立場に立ち、それぞれの責任と役割の下に協力して業
   務を進めるものとし、デザイン監修者の説明・質疑に対する回答等を踏まえて業務を行い、両者で見解の
   違がある場合、最終的な判断は発注者が行う
(PDF P11、12)



フレームワーク設計(平成25年7月29日)、
  新国立競技場整備及び環境整備に関わる設計条件の整理基本設計方針の策定

基本設計(平成26年1月10日)、
  新国立競技場整備及び環境整備に関わる基本設計図書の作成概算工事費の検討

実施設計(平成26年8月20日)、
  実施設計方針の策定実施設計図書の作成概算工事費の検討

白紙撤回表明
平成27年7月17日)、


改める度に、ザハハデドの”関与”は減少していったという理解でいいんだろうか。
上流工程から離れるごとに、という言い方もあるかもしれないが。