宮古島市沖で10人が搭乗した陸上自衛隊のUH60JAヘリコプターが行方不明となった事故で、防衛省・自衛隊が17日、海底で見つかった搭乗者とみられる5人のうち新たに2人を引き上げたことが関係者への取材で分かった。死亡が確認された2人を含め、同じ場所から引き上げられたのは計4人。防衛省・自衛隊は引き続き、深い海域に潜るための特殊技術「飽和潜水」を使った作業を実施し、残された1人の引き上げと見つかっていない5人の捜索を続ける。
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新たに2人を引き上げたのは、海自が13日に水中音波探知機(ソナー)でヘリの機体主要部や隊員の可能性がある5人を発見した宮古島の西隣にある伊良部島の北側約6キロ、水深約106メートルの海底。防衛省・自衛隊は16日に5人のうち2人を引き上げ、死亡を確認した。取り残されている1人についても、海中から引き上げる方法を検討している。
関係者によると、16日に引き上げられた遺体は17日、宮古島分屯基地からCH47大型輸送ヘリで搬送され、那覇基地に到着し、那覇署に移送された。18日以降、琉球大学病院で詳しい状況を調べる。
一方、第11管区海上保安本部は17日、大型測量船「平洋」(4千トン)による海底捜索を18日未明から開始すると発表した。同本部によると、同船は、音波を活用した「マルチビーム測深機」という装置を装備。深さ最大約1万1千メートルの海底地形を明らかにすることができるという。自衛隊と調整の上、伊良部島の北側海域で200メートルより深い場所を捜索する見込みだ。
陸自は、機体の胴体部分引き上げに向けてサルベージ会社などと契約するための手続きに入り、16日に回収作業に関する「公告」を出した。21日に入札して業者を選定。契約期間は6月末までとしている。
(安里洋輔、大嶺雅俊、明真南斗)
陸上自衛隊幹部ら10人が乗っていたUH60JAヘリコプターが宮古島周辺で行方不明になった事故で、自衛隊は17日、新たに搭乗員とみられる男性2人を捜索現場の海底から引き上げた。生体反応がなく、容体を確認している。自衛隊は16日にも別の男性2人の遺体を引き揚げており、身元の特定を進めている。海底に残る1人の救助に向けても作業を急ぎ、まだ発見されていない5人の捜索も続ける。
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一方、第11管区海上保安本部は17日、海上保安庁の大型測量船「平洋」が18日未明から捜索に加わると発表した。海底へ広角に音波を出し、最大水深約1万1千メートルの地形を調べられる「マルチビーム測深機」を備えている。11管区は、自衛隊から14日に捜索要請があったといい、「水深200メートルより深い場所の捜索に当たる」と説明している。
自衛隊は16日、伊良部島から北に約6キロ離れた水深約106メートルの海底で、搭乗員とみられる5人や事故機の胴体部分を発見。そのうち2人の男性を引き上げたが、同日午後7時5分までに死亡が確認された。
複数の関係者によると、陸自や海保が沖縄本島内などで死因を詳しく調べ、身元の特定を進めている。17日に引き上げた男性2人の容体も確認している。
自衛隊は18日も、深い海に潜る特殊技術「飽和潜水」で海底に残る1人の引き上げに向けた作業を進め、見つかっていない5人の捜索も続ける。
また、陸自は16日までに、機体の引き揚げに関する入札公告をした。21日に入札して業者を選定する。契約期間は6月末まで。サルベージ会社などが入札する見通し。
岸田文雄首相は17日、官邸で2人の死亡に関し「痛恨の極みだ」と述べた。搭乗員10人が「一日も早く家族の元に帰ることができるよう全力を尽くし、事故原因の究明に努める」との考えを示した。
(東京報道部・新垣卓也、社会部・玉那覇長輝)
沖縄県の宮古島周辺で陸上自衛隊員10人が乗ったヘリコプターが消息を絶った事故で、海底で見つかった機体の周辺に隊員とみられる5人の姿があり、17日までに、うち4人が引き揚げられ、2人の死亡が確認された。事故から10日以上たって分かった最悪の結果。自衛隊関係者や地元住民は残りの隊員の早期発見を願った。
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16日夕、この日引き揚げられた2人を乗せた海上保安庁の巡視船が宮古島の平良港に入った。自衛隊員が目張りをする中、2人の遺体は待機していた自衛隊車両に移され、搬送されたとみられる。
ヘリは熊本市に司令部がある陸自第8師団に所属し、坂本雄一師団長(55)を含む10人が乗っていた。陸自OBらでつくる「熊本県防衛を支える会」の川口英徳会長(80)=熊本市北区=は「毎日祈るような思いで無事を願っていたが、残念だ。残り5人も早く見つかってほしい」と悲痛な思いを語った。自身も陸自OBの川口会長は「職務遂行には危険を伴うが、残された家族のことを思うと本当にいたたまれない。早く家族の元に返してあげてほしい」と話した。
川口会長は3月末、就任した坂本師団長と面会した。「爽やかで責任感が強かった」。九州南部の防衛や警備を担う第8師団は有事の際、沖縄などにも緊急展開する。川口会長は「安全保障環境が厳しさを増す中、一日も早く現場を確認したかったのだろう。早くフライトレコーダー(飛行記録装置)を回収して事故原因を究明してほしい」と話した。
空自OBで、沖縄県自衛隊家族会の会長、古門(ふるかど)茂夫さん(73)は宮古島などの漁師らが連日漁船を出して捜索に加わってきたことを「本当にありがたい」と感謝し、「他の隊員たちも一日でも早く家族の元に返してほしい。捜索にも危険が伴う。2次被害が出ないよう万全を期してほしい」と語った。
沖縄県宮古島市の池間島でダイビングショップを経営する原慧(さとし)さん(37)は「残りの方々も早く見つかってほしい」と祈るように話した。6日の事故以降、目の前の海を自衛隊や海上保安庁の船が捜索する様子を見守ってきた。原さんは「少しでも力になりたいと、捜索に協力してきた漁師も多い。ただ、あれほど深い海では私たちにできることも限られる」ともどかしそうに話した。
【城島勇人、平川昌範、喜屋武真之介】
沖縄県の宮古島周辺で陸上自衛隊員10人が乗ったヘリコプターが消息を絶った事故で、防衛省は16日、機体と隊員とみられる5人の姿を海底で発見し、うち男性2人の死亡を確認した。防衛省関係者によると、深海で作業できる特殊技術「飽和潜水」による活動を17日も実施し、新たに2人を引き揚げた。残る1人の引き揚げを急ぐほか、安否不明のままの5人の捜索を続ける。
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防衛省によると、機体と5人が見つかったのは、伊良部島の北側約6キロの深さ約106メートルの海底。事故機の機影がレーダーから消えた地点からは北側に約4キロ離れている。海上自衛隊の潜水艦救難艦「ちはや」のダイバーが水中カプセルで降下し、16日午前8時半ごろ、海中に出て目視で確認した。
機体は胴体の主要部分で激しく損壊しており、周辺で5人が見つかった。自衛隊はこのうち2人を16日に引き揚げ、海上保安庁の巡視船で宮古島の平良港(沖縄県宮古島市)へ運んだ。その後、陸自の医官が16日夜に2人の死亡を確認した。詳しい死因を調べている。17日には残る3人のうち、新たに2人を引き揚げた。
防衛省は海底に残る1人の引き揚げを急ぐほか、安否不明のままの5人の捜索も続ける。事故原因の解明には機体主要部の回収が必要として、海底の機体の状況を確認して引き揚げ方法を検討する。実際の作業は民間サルベージ会社が担当する方向で調整している。
飽和潜水による捜索は、ちはやのダイバーが数人1組のグループとなり、交代で担当している。ダイバーは高い水圧に耐えられるように、気圧を調整できる小部屋に入り、ヘリウムなどの混合ガスを体に取り込んで加圧する。潜る深さと同程度の水圧に体を慣らしてから、海底に移動する。
この事故では13日までに、主回転翼のブレード(羽根)やドアの一部など部品22点が海上で見つかり、回収されている。機体の主要部から「フライトレコーダー」(飛行記録装置)を回収できれば、事故原因解明の進展が見込める。17日夕の時点で見つかったとの情報は入っていないという。
事故機は第8師団第8飛行隊所属の多用途ヘリ「UH60JA」。陸将の坂本雄一師団長(55)ら師団司令部5人、パイロットと整備士2人ずつ、宮古警備隊長の計10人が乗っていた。
【内橋寿明、安達恒太郎】
沖縄県の宮古島周辺で陸上自衛隊の隊員10人が乗ったヘリが消息を絶った事故で、深海に潜る「飽和潜水」で海底を捜索した海上自衛隊のダイバーが16日午前、事故機の機体と隊員5人の姿を確認した。防衛省はこのうち2人を引き揚げて死亡を確認し、17日にも新たに2人を引き揚げた。
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防衛省は18日以降も、見つかっていない隊員5人の捜索を進める。海底に残る1人の引き揚げも検討する。機体の引き揚げについては民間業者が参加する入札を16日に公告しており、入札日の21日にも契約を結んで6月末までに引き揚げる。
飽和潜水は、水圧に体を慣らしたダイバーが特殊な装置とともに海中に潜り、深海を潜水する手法。防衛省によると、海上自衛隊の潜水艦救難艦「ちはや」のダイバーが16日朝から飽和潜水を始め、午前8時半ごろ機体と5人を発見。伊良部島の北約6キロ、深さ約106メートルの海底で、機体は主要部分が損壊し、周辺に5人が確認されたという。
16日はこのうち2人をダイバーが引き揚げ、海上保安庁の巡視船に乗せて宮古島の平良港に運び、陸自の医官が午後7時ごろ死亡を確認した。17日にはさらに2人を引き揚げた。生体反応がない状態で、18日にも死亡確認を進める。
第8師団長ら10人が乗ったヘリは6日にレーダーから消失。13日夜、この機体と見られるものがソナー探査で確認された。翌14日から飽和潜水のダイバーによる捜索が予定されたが、14日は機器の不具合で中断、15日は天候不良で実施されていなかった。
(成沢解語)