[2023年6月8日15時15分]
 
9日に衆院内閣委員会で審議入りするLGBTなど性的少数者への理解増進法案について、自民党中村裕之衆院議員は8日の党代議士会で、採決の際に党議拘束を外すべきだとの考えを訴えた。

中村氏は「これまで努力いただいた先生には敬意を表したい」とした上で「部会での相当な異論があった法案。内心の問題で党内にさまざまな意見がある。議員立法で3党提出の案を審議するという異例の扱いで、自民党議員のためにも党議拘束をかけないで審議をしてほしい」と訴えた。

理解増進法案は2021年5月に超党派の実務者がまとめたが、2年あまりたなざらしの状態になってきた。ただ今年サミット議長国としての体面を保つ目的もあり、自民党内での意見集約が急ピッチで進み、自民、公明両党による与党案はG7広島サミット開幕前日の5月18日、国会に「駆け込み提出」された。超党派の実務者で合意した法案の「差別は許されない」との表現が「不当な差別はあってはならない」に変更されたほか、「性自認」との文言も「性同一性」に置き換えるなど、保守派に配慮して一部に修正がはかられた。

それでも自民党内の保守派には、修正された与党案の内容にも異論を唱える声がある。代議士会での中村氏の発言に「そうだ、そうだ」の声が上がる場面もあった。自民党で造反者が出るとの見方が根強い。

9日の衆院内閣委員会では、<1>与党案<2>立民、共産、社民各党の案<3>日本維新の会と国民民主党の案という与野党の計3案を審議し、それぞれ採決する予定だが、審議時間の少なさへの批判もすでにあがっている。法案提出したものの広島サミット以降、審議のめどが立たない状況が続いていたが、与野党が7日に9日の審議入りで合意。衆参両院での審議を経て、6月21日に会期末を迎える今国会中の与党案の成立が見込まれている。

与野党間に立場の違いがあるLGBT政策に関する法案を成立させるのは、岸田文雄首相が衆院解散の判断をする上での環境整備の一環ともみられている。

岸田首相はこの日の参院財政金融委員会で、法案に対する自身の考えを問われ「与党案を含め複数の法案が提出されたと承知している。いずれも議員立法で、国会審議の前の段階で政府の立場から何か申し上げるのは控えなければならない」と述べた。参政党の神谷宗幣参院議員の質問に答えた。

その上で「多様性が尊重され、全ての人々がお互いの尊厳や人権を大切にし、生き生きとした人生を享受できる社会の実現に向けて努力しなければならない」などと訴えた。