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しばらくかかりそ。サグラダファミリアより遅くなるかも。

厚生労働省が10年備えた感染把握システムを採用せず、急造「HER-SYS」は機能不全

報道弾圧終了、情報統制終了、ということだろうか。

 

この国にとっての最大、最良の経済対策は、ケケナカパソナの撲滅、もしくは逮捕がかねてからの持論なんだが(←ケケナカ個人は逃げ出したんだっけ?)、当該分野においてはパーソルとその後ろがソレに相当するんかね。

(直近に限定するなら、日銀クロダの引責辞任も同じ程度の効果/メッセージ性はあるかもしれんけど。なぜに辞めない、辞めさせないんだろうね。)

 

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xtech.nikkei.com

厚生労働省が10年備えた感染把握システムを採用せず、急造「HER-SYS」は機能不全
玄 忠雄
日経クロステック/日経コンピュータ
2022.09.26


 医療現場の負荷軽減へ縮小運用を続ける感染者情報管理システム「HER-SYS」。実は、厚生労働省が約10年かけて開発を進めてきた別の感染把握システムがある。「症例情報迅速集積システム(FFHS)」と呼び、現場の負荷を極力抑えたものだ。だが厚労省はなぜかFFHSを採用せず、HER-SYSを急造する選択をした。累計50億円以上を投じたHER-SYSを含め、決定の経緯と結果の検証が必要だ。

 新型コロナウイルス対策に活用する「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)」がたび重なる運用見直しに追われている。その大きな要因の1つが、国が医療機関や保健所に求める入力事務の負荷の高さだ。

 当初は患者の個人情報や症例に加え、濃厚接触の追跡に使う関連情報など約120項目の入力が必要で、1件に20~30分を要したという。医療現場から改善要望が強く、厚生労働省は2020年末に発生届と同等の数十項目に、オミクロン株で感染者が急増した2022年6月30日からは7項目と必要な入力項目を減らし続けた。しかし、桁違いに感染者が増えた第7波により、医療現場の事務負担が解消されない。政府はオミクロン株の特性も踏まえ、9月26日から感染者の全数を把握せず重症者などに絞る運用に切り替えた。

 実は、厚労省は研究予算を投じてパンデミック(世界的大流行)を想定した別のシステムも約10年前から開発させていた。「症例情報迅速集積システム(FFHS)」と呼び、集める情報を必要最小限に絞り込んだものだ。2014年度には一通りの機能を完成させ、何度も演習を実施していた。だが厚労省はFFHSを採用せず、緊急事態の中でHER-SYSを急造する。新型コロナ禍が広がりつつあった2020年2月、FFHSを新型コロナ対応に改修する指示を出していたにもかかわらずである。新型コロナ対策のIT化を指揮した厚労省副大臣らにはFFHSの存在が伝わっていなかったことも明らかとなった。 

1人1分もあれば報告できる

 FFHSは北見工業大学の奥村貴史工学部教授が開発を主導した。2009~2018年に厚労省の医系技官を務め、2009年の新型インフルエンザ発生時は政府の対策本部でクラスター対策に携わった。当時の混乱を踏まえ「国がサーベイランス(感染状況の把握)に必要な情報を迅速に集める必要性を痛感」(奥村教授)し、研究を立ち上げた。

 厚労省の研究費で感染症対策の研究案件を数多く手掛ける「谷口班」で、2011年ごろから要素技術の開発が始まった。システム全体を実装した2014年度からは、厚労省職員や自治体関係者が参加した演習を毎年、実施してきたという。運用を通じて情報収集とサーベイランスが機能するかを検証し、改善するためだ。

 FFHSで収集する情報は最少で7種類に絞り込んだ。入力が必要なのは患者の年齢や発症日、該当する症例などで、すべて数字の記入か項目のチェックだけで済む。要する入力時間は1人1分以内という。現場の実情に合わせて複数の入力方法も用意した。Webフォームのほか、表計算ソフトからの取り込み、所定用紙への手書きなどだ。手書きの場合はファクスの粗い解像度でもOCR光学文字認識)技術で自動的に読み取る機能を実装した。 

  情報を絞り込んだのは現場の負担軽減とともに情報収集のスピードを高めるためだ。国などの対策本部が感染初期の動きを捉えるには、検査結果が出ていない疑い症例や濃厚接触も含めて迅速に情報化する必要がある。日本ではこうした疑い症例も含めた情報化が遅れており、業務の逼迫を招いていた。

 

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ここで引用した内容ですかね。

tu-ray-0g-0s1.hatenablog.com

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下記の記事は知らなかった。初見。メディアや永田町、霞が関で共有、広がっていればねぇ。理解できる人よりも、理解させないよう妨害する奴の方がはるかに多かったんだろうか。

gendai.media

2020.06.29
# 新型コロナウイルス
コロナの届け出「ファックスで保健所に提出」がやめられない理由
この機会に明らかにすべき本当の問題
奥村 貴史 北見工業大学教授


国民を驚かせた「いまだにファックス」

「令和の時代にファックスだって…?」

新型コロナウイルス感染症の患者を診察した際、医療機関は保健所に患者の発生を届け出なければならない。医師は、その届けを「手書きの書類をファックスする」という方法で提出していると言えば、驚かれる方が多いかもしれない。

実際、4月末にはその煩雑さを嘆く医師の声が大臣の目に留まり、ウェブ化が進められる運びとなったとの海外報道までなされた。たしかに、このネット時代に書類をファックスするという業界の後進性には、多くの方が驚かれるだろう。

だが実は、この発生届は、性急にウェブ化すべきでない。誤解を恐れずに言えば、ファックスでの報告が「現段階では」望ましいのである。

前回の寄稿において、私は新型コロナ対策を支える最前線である保健所の苦境について記したが、その後、4月に入って各地で保健所がパンク状態であることを伝える報道が多数なされた。そのなかには、保健所にファックスされる発生届を、保健師がパソコン入力する煩雑さを伝えるものも含まれていた。

にもかかわらず、なぜファックスでの報告が現段階では望ましいのか。今回は、公衆衛生分野の情報化に関わってきた立場から、普段日の当たることのない公衆衛生行政の情報化が抱える問題という観点から解説したい。

いっけん非効率な患者発生届の運用には、一般には知られることのない公衆衛生行政内部の話が多く関わる。シンプルに言えば、この問題は日本の感染症対策の体制に由来しており、「患者発生届だけ」をウェブ化しても問題は解決しない。それどころか、この部分だけをウェブ化することで全体ではより効率が下がってしまう懸念もある。この問題は、短期的に予算を掛けても一朝一夕には解決しない。

以下では、その背景を、「アカウント管理の問題」、「医師側の問題」、「保健所側の問題」、「施設間連携の問題」、「検体管理の問題」の5点に分けて解説したい。

 

アカウント管理の問題

まず、医師の患者発生報告をオンライン化するとして、そもそも(提出者が本当にしかるべき人物であるかという)「認証」をどうするかという問題がある。要するに、医師に「アカウントとパスワードをどう配るか」という問題である。

もともと、医師をオンライン上で認証するために、保健医療福祉分野公開鍵基盤(HPKI)という仕組みが整備されてきた。しかし、この方法は現時点で普及しているとは言い難い。今回、オンライン報告を希望する医師にアカウントを配ってしまうのも手だが、医師はとりわけ「気難しい顧客」で、一般的な情報システムと比べて、ユーザーサポート体制を充実させる必要がある。そうした体制を短期間に立ち上げるためには、相応のコストが掛かる。

仮にコストをかけて体制を作り、アカウントを配布したとしよう。しかし、単一疾患(今回の場合は新型コロナウイルス感染症)の患者報告にしか利用できないアカウントは非効率である。そもそも医療機関と公衆衛生行政の間には、感染症発生届に限らずさまざまな情報共有上の課題がある。そうした論点を整理しないまま、既存の政策との整合性が取れない施策を進めるのは問題の解決を遅らせる。


医師側の問題

仮に認証の問題が解決し、これで希望する医師によるウェブ報告可能となったとする。しかし、それで医師の負担が下がるかどうかは、医師個人や施設毎の差が大きい。

そもそも医療機関では、個人情報の保護のため、患者情報の入った情報システムは基本的にインターネットに接続しないことになっている。ネットに接続した少数の閲覧用端末は外来や病棟にあるだろうが、電子カルテから患者の氏名や住所等の情報を持ってくることができなければ、「二重入力」が生じる。

電子カルテをネット接続できるよう改造するのは極めて高コストであり、短期間にできるものではない。
では、医師が直接入力するのを避けて、医師の書類仕事を支援する医師事務作業補助者(医療クラーク)に入力してもらうのはどうか。そもそもの入力内容を医療クラークが単独で入力できるケースがあるかもしれないが、そうでない場合、医者は患者情報を紙にメモしたうえで渡せば良いのだろうか。これでは、医師がいちいち紙に記入してファックスで送付する既存の発生届と手間は変わらない。

この問題の解決策は、施設毎に最適解が異なる。電子カルテに、発生届の帳票印刷機能を追加することが容易にできる施設にとっては、印刷した発生届をファックスする方に即効性があるだろう。ウェブ報告が有用なケースがあることは否定しないが、全ての医療機関の負担を下げうる解決策とは言えない。


保健所側の問題

さて、病院などの検査機関から保健所に届けが提出されると、保健所はその情報を自治体本庁や国と共有していくことになる。この保健所から国へと情報共有がなされる過程も問題となる。

そもそも、感染症対策には地方自治体に相応の裁量があり、各都道府県や政令指定都市は独自の感染症対応体制を有している。

前述の通り保健所は、入手した検体(分かりやすく言えば、患者から採取した鼻水など)を検査施設に送り、検査結果を行政機関内部で情報共有している。その仕組みは、新型コロナウイルス感染症のためだけのものでなく、さまざまな感染症への対策のために日常的に運用されている。

仮にもし、ここに新たな新型コロナ用のシステムが導入されるとどうなるか。たとえ病院からの報告がデジタル化しても、すでに業務効率化のため独自の感染症情報システムを導入している大規模自治体においては、自治体側システムと新型コロナ用システムとが相互接続されていない限り、保健所側で入力負担が生じることになる。

独自の情報システムを有していない自治体であっても、他の日常的な感染症対応フローと新型コロナのフロー、2つの業務フローが並立してしまう。これは、パンデミック対応に追われる保健所にとって余分な負担となる。
さらに、国はもともと、国と地方自治体との間で感染症情報を共有するためのシステムを運用してきた。今回、国と自治体の間では発生件数などの情報を共有するための新型コロナシステムが整備されたが、新型コロナシステムと国側システムへの二重報告を課すのはさすがに非合理であるため、新型コロナシステムを利用する際には国側システムへの入力は免除されるようである。

しかし、仮に病院と公衆衛生行政をつなぐシステムが導入された場合、病院から保健所へと報告されていた患者の発生連絡は、新型コロナ感染症についてのみ国システムを用いて保健所へ連絡されることになり手間が増しうる。パンデミック発生後に保健所の負担軽減のために専用システムを導入した一部の自治体にとっては、さらにメリットは乏しくなるだろう。


施設間連携の問題

問題はまだ続く。法律的に届出義務が課されている感染症については、患者発生に際して医療機関は保健所に適切な連絡をしなければならない。しかし、届け出た後、患者が軽快したのか重症化したのか、という経過情報については、効率的な情報集約手段が存在しなかった。

もし、多大なコストを掛けて新たな情報システムを導入するのであれば、単なる発生届の受け付けだけでなく、こうした経過情報を含む効率的な収集が望まれる。そのためには、重症化によって転院する運びとなった際、医師間で患者情報を引き継いで報告できるような仕組みも求められる。また、患者からの直接報告も有用であろう。このように有益な情報を得ようとすればするほど、システムの肥大化は避けられない。

肥大化したシステムの開発には時間がかかり、自治体、保健所、医療機関での調整・導入コストが増すことになる。しかし、パンデミックにおいては、一般的に、患者数が増すにつれ全症例の詳細情報を収集する意義は薄れていく。患者の発生が始まり、現場の混乱と負担が増す時期に、タイムリーに負担の軽減策を投入する必要があった。


検体管理の問題

最後に、患者検体の管理に関わる問題がある。患者から得られる検体は、さまざまな検査施設に送られうる。それぞれの検体には、採取した患者の情報、検体がどこに送られているかという移動情報に加えて、その検体の検査結果に関する情報が生じる。そのうえで、検査の結果を効率的に臨床側(病院側)に伝える必要がある。

今まで自治体は、それぞれが独立してこの検体情報を管理してきた。この検体情報を全国的に統一して管理する基盤は存在しなかったため、全国で何件検査が行われ、何件陽性が出たかという最低限の管理をするためだけに、全国的な情報集約に相当な手作業が介在することになっていたわけだ。

ひとつの検体が、精度管理のために複数の検査機関に送られるケースもあるため、管理の手間はさらに複雑となる。医師側からみると患者発生届に意識が向くが、情報システムは、この検体と検査結果情報を全国レベルで管理する手法にこそ価値を発揮する。

システムを整備する場合には、このように、地方自治体を含む公衆衛生行政の情報管理と合致する必要があり、それができなければ、コロナ禍が去った後にそのシステムの扱いに難しさが残る。


ウェブ化だけでは解決しない

医療機関からの報告をウェブ化することそのものは、技術的には容易な話である。しかし、医療機関側から見えないところに、感染症対策におけるさまざまな業務が存在する。患者発生届は、そうした公衆衛生活動における情報のやり取りの一部に過ぎない。

仮にこの発生届をウェブ化するとしよう。しかし、その結果、保健所側での業務が増す懸念がある。導入には解決すべき様々な課題があり、実際、迅速な投入を行うことはできなかった。そして、効率的な統計取得に至るまでに相当な作業を要しながらも、公衆衛生に存在する情報共有上の根本的な問題解決には繋がらない。本稿では割愛したが、情報セキュリティ上のリスクも孕んでいる。

ここで根本に立ち返りたい。出来る限り短期間に、どうすれば医療機関と保健所双方の負担を下げることができたか。患者発生届に限定して述べれば、まずは煩雑な患者発生届を必要最小限のものへと簡素化し、保健所側でOCR処理(手書き等の文字を自動的に読み取り処理する技術)すれば良かったものと考えられる。


性急な情報化は、事態を悪化させる

このようにパンデミックの国内発生早期に患者情報の効率的な集約に困難が生じることは、感染症危機管理業界では既知であった。というのも、2009年の新型インフルエンザパンデミックにおいて、同じ問題が生じていたからである。2003年に生じたSARS重症急性呼吸器症候群)においても、同様であったと伝え聞いている。

そこで、来るべき「有事」に向けて解決のためのシミュレーションが繰り返し試みられ、簡素な仕組みによりまずは関係機関間の情報共有に要する現場負担を下げることが求められると認識されていた。

行政機関においては、地道で解決に時間を要する問題に予算はつき難く、社会の耳目を集める問題には予算がつきやすい。その結果、今までも、何らかの問題が発覚するたびに、発生した問題へと過剰に特化した対策が導入されがちであった。

しかし、そうして導入されたシステムには柔軟性がなく業務に合致しない等の問題が生じうる。そのため、しばらく後に利用率の低さを問題視され、廃止されるような事態が繰り返されてきた。その愚を繰り返してはならない。

医療機関と公衆衛生行政の間における情報共有には、感染症の患者発生届を含めてさまざまな非効率が存在する。医療現場と公衆衛生行政双方の負担を軽減していくために、この非効率は解消されるべきである。そのためには、時間にも予算にも人材にも限りがある以上、即効性のある短期的な負担軽減策と、根本的な課題の整理に基づく中長期的な対策とをバランス良く実施していく必要がある。

ウェブでの報告を望む医療機関にとっては、ウェブからの報告窓口が存在していても良い。しかし、それは問題の根本的な解決とはならない。「ファックスは後進的だ」と前提した拙速な対策は、「ウェブ化により問題が解決した」という歪んだ認知を通じて公衆衛生行政に存在するさまざまな問題の解決をむしろ遠ざける可能性がある。この一件は、冷静な検証と客観的な報道を通じて、今まで発言権を与えられて来なかった医療機関と公衆衛生行政双方の現場の声を政策へと届ける契機となることが望ましい。