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しばらくかかりそ。サグラダファミリアより遅くなるかも。

我が国水産物輸出に関する取組の現状と課題 報告書より、ホタテ関連抜粋①

我が国水産物輸出に関する取組の現状と課題 報告書
平成29年7月
一般財団法人 東京水産振興会

 

我が国水産物輸出に関する取組の現状と課題 報告書より

 

武漢ウイルス前の、平成29年の報告書なんですが、なんつーか、いわゆるオーバーツーリズムの弊害に重なって見えるもの、ありません?)

 

 

第2章 水産物輸出の事例調査

ホタテガイ

 

1-1 我が国におけるホタテガイ生産の概要
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(1) 北海道におけるホタテガイ生産の概要


① 生産量の推移

北海道のホタテガイの生産量は、直近 10 年は約 40 万トンの水準で推移している。2015 年は36.7 万トンと大幅減産(前年比 22%減)。原因は 14 年 12 月に発生した爆弾低気圧による道東地区(宗谷・オホーツク)の大減産。同年の道東地区の生産量は約 23 万トン(前年比 36%減)。4輪採制(一部 5 輪採制)のため、2017 年までこうした影響が続くといわれている。


噴火湾の生産量は、2011 年の震災被害年を除くと、約 10 万トンで推移している。ただし、2016 年以降、斃死率が急上昇。同年の生産量は約 5 万トン。翌 17 年は 2016 年 8 月に発生した台風被害の影響も重なり、1.5 万トン程度と更なる大減産が予想されている。

 

 

 

② 生産量-価格の関係

北海道産ホタテガイの直近 20 年間の年平均単価の平均値は 147 円/kg であった。生産量が約49 万トンにも達した 2003 年には 84 円/kg と大暴落を経験するが、2012 年までは、生産量 40万トンを基準に、これを下回ると価格は 150 円/kg を上回り、これを上回ると価格は 150 円/kgを下回る傾向にあった。中国・ベトナム輸出が 3 万トンを超えた 2013、14 年には、生産量が 45万トンを上回ったにもかかわらず、価格は 200 円/kg を上回る高騰がみられる。また、噴火湾とオホーツクの価格動向を比較すると、噴火湾価格>オホーツク価格という状況にある。特にここ数年は両産地の価格差が拡大傾向にある。

 

こうした状況は、生産量と価格の関係を示した図 2-3 からも確認される。2012 年までは両者間には高い相関性が認められるが、2013 年以降の価格は、その近似曲線(対数近似)から大きく離れた位置に形成されている。すなわち同年以降、ホタテガイの需要が急激に高まったことが示される。ただし、生産量から輸出量(原貝換算した推定値)と価格の関係をみると、2013 年以降も相関性は高い(図 2-4)。すなわち、2013 年以降の価格高騰は、輸出量の拡大により国内供給量が減少したことが一因であると分析される。

 

 

(2) 青森県におけるホタテガイ生産の概要

 

青森県ホタテガイ生産量は、2008 年頃まで 8~9 万トンで推移するも、その後は高水温等の影響から斃死率が上昇。2013 年には約 5 万トンにまで減少する。2009 年には、過密養殖による貝の小型化と斃死の抑制を目的に TASK(生産量規制)が導入された。2016 年は、斃死率が低水準であったことに加え、貝の成長もよかったことから 10 万トンを上回る見込みである。

 

 

 

 

1-2 ホタテガイの輸出事情
 

2007 年以降のホタテガイの輸出量の推移は図 2-6 に示すとおりである。
2011 年まで 1 万トン水準であった輸出量は、2012 年以降急増し、2015 年には約 8 万トンにまで拡大している。主な輸出相手国は、2011 年まではアメリカ、台湾(共に玉冷主体)であったが、2012 年以降、中国とベトナムが急増する。中国輸出は 2010 年頃から、ベトナム輸出は 2012年頃から開始されている。なお、ベトナムに輸出されたホタテガイの多くは、中国に再輸出されているといわれている。
中国への輸出拡大は、中国国内におけるホタテガイ近縁種(イタヤガイ)の大減産が影響している。中国国内の加工業者が不足する加工原貝を噴火湾に求めた結果、「両貝冷凍(殻のまま冷凍された商品)」が大量に輸出されることとなる。中国では、国内で消費されるほか、アメリカや EU 向けに貝柱商品(主に玉冷)として再輸出されている。その際、「水漬け処理(水につけて再凍結することにより 1.5 倍程度に水増しする加工処理)」が行われる。
このほか、韓国向けの「活貝」輸出も増加傾向にある。2015 年は約 7,000 トンが輸出されている。これら韓国向け「活貝」出荷は主に留萌産ホタテガイが対応している。
一方で、2016 年の春には、高価格を背景に、北海道産ホタテガイについては中国からの引き合いが低下、安価な青森産に触手が動いているとの報道がながれた。しかし、青森県の加工業者はホタテガイ加工を専業とする業者が多く、その多くが冷凍施設を持っていないため、噴火湾あるいは八戸の業者に原料供給しているところが多い。
2016 年の中国向け輸出は 5 万トン程度(噴火湾産 2 万トン、青森産 3 万トン)と推定される。以上より、2015 年に輸出されたホタテガイは、原貝ベースで、両貝冷凍(中国・ベトナム)が約 6 万トン、活貝(韓国)が約 7,000 トン、玉冷(アメリカ、EUほか)が 5~11 万トン、合わせて 12~18 万トン程度と推定される。同年の北海道・青森県の生産量が約 47 万トンであったことから、総生産量の 25~37%が輸出に向けられたことになる。噴火湾に限れば、生産量の半分以上が中国・ベトナムに輸出されたと推定される。

 

 

 

 

 

1-3 ホタテガイ輸出の変化がもたらした影響


(1) 生産面における影響

 

① 国内供給量の縮小による産地価格の高騰

中国・ベトナム輸出の拡大を背景とする総輸出量の増大により、かつて 35~40 万トン程度あった北海道産ホタテガイの「国内供給量」が 30~35 万トン程度にまで縮小。2015 年には、オホーツク産ホタテガイの大減産もあり、国内供給量は約 25 万トンにまで減少することになった。これにより、国内におけるホタテガイの需給バランスが変化し、150 円/kg 水準で推移していた産地価格は 280 円/kg にまで高騰することになる。


② 出荷時期の後退(噴火湾胆振地区)

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本来、噴火湾の養殖ホタテガイは、2 月以降に生殖巣が急成長することもあり、3 月~4 月に貝の歩留まりが急上昇する。したがって、養殖業者にとっては、1 枚あたりの価格が最も見込める 3 月以降の出荷が理想といえる。しかしながら、噴火湾ホタテガイは加工原料を主体とため、1 日の出荷量が地域内加工業者の加工処理能力を超えた場合、価格暴落のリスクが発生する。そこで、流通面で不利条件(地域内に大規模な加工場がなく輸送コストが高い)を抱える胆振地区の養殖業者は、渡島地区のホタテガイの出荷が集中する 3 月以降の出荷を回避し、遅くとも 3 月上旬までには出荷を完了する傾向があった。
しかし、輸出拡大の背景となった「両貝冷凍」は加工過程が単純であることもあり、噴火湾地区加工業者の加工処理能力は格段に増強されることとなる。その結果、集中的な出荷により価格が暴落するリスクが軽減され、胆振地区の養殖業者の出荷のピークは 2 月~3 月にシフトする傾向がみられる。

 

③ 新たな作業の追加(噴火湾胆振地区)

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2010 年頃より噴火湾全域に大量出現がみられるようになったザラボヤは、ホタテガイの養殖施設や貝殻本体に付着し、生育阻害など多様な被害を与えている。秋季に付着したザラボヤを駆除することでこうした被害は大幅に軽減されるが、胆振地区では付着したザラボヤが大きく成長する前の 12 月~2 月に出荷の最盛期を迎えることから、駆除作業の必要性は低く、駆除作業を行う養殖業者はほとんどいなかった。しかし、出荷時期の後退により、3 月以降の出荷量が一定割合を占めるようになったことにより、駆除作業の必要性が格段に高まることとなる。
現在、噴火湾内でホタテガイ養殖業を営むほとんどの業者が養殖施設の一部あるいは全部においてザラボヤ駆除を実施している。

 


(2) 流通面における影響

 

① 産地取引における新規業者の参入

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「両貝冷凍」は原貝に手を加えず凍結するだけの製品であるため、高度な加工技術が要求されず、冷凍庫を持つ業者であれば大規模な追加投資を必要とせずに同製品加工への参入が可能であった。北海道では、サケ、イカ、サンマをはじめ加工原料となる漁獲物の水揚量が低迷していることもあり、2012 年以降、数業者がホタテガイ加工に新たに参入した。しかし、こうした者が製造する「両貝冷凍」ホタテガイの多くは中国バイヤーを通じて輸出されたが、薄利であることに加え、業者とのトラブルも多く、そのほとんどが 2015 年までに同製品加工・販売から撤退している。現在噴火湾地区で「両貝冷凍」の生産・中国輸出を行っているのは大手 3~4 社程度である。

 

② 産地取引方法の変化(噴火湾地区)

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噴火湾ホタテガイの産地取引においては、2011 年までは「協議値決め方式」が採用されて。「協議値決め方式」とは、生産者(漁協)と買受業者(加工業者)が話し合いにより価格を決定する仕組みであり、固定的な荷割配分と価格の安定性が保たれてきた。しかし、中国向け輸出拡大に伴う需要の高まりは売り手市場化を招くとともに、産地における取引方法にも影響を及ぼすこととなった。
「協議値決め方式」では漁協ごとに荷割が概ね固定されていることから、上述した産地取引における新規参入業者が原料貝を仕入れたい場合、荷割配分を持つ業者から購入する以外に方法はない。これら業者が漁協から直接仕入れたいといった「買い手側の思惑」と、売り手市場にのり少しでも高値で売りたいという「売り手側の思惑」が一致した形で 2012 年に「入札方式」が誕生することになる。現在は、3 年貝を多く生産する八雲町漁協と長万部漁協を除く、噴火湾一帯の漁協において、生産物の一部あるいは全量において入札方式が採用されている。
現在は、好調な輸出と減産により売り手市場が継続しているため、入札価格が協議値決め価格を上回る状況が続いているが、入札方式の場合、生産量が従来水準にまで回復あるいは輸出が停滞するなどにより買い手市場化した場合には、協議値決め方式以上に価格暴落のリスクが高まると考えられる。

 

③ 国内消費の減退

国内供給量の縮小を背景とする産地価格の急激な高騰は、国内消費の減退を招くことになった。前述のように、ホタテガイの産地価格はここ数年でほぼ 2 倍にまで高騰し、いまだに上昇傾向が継続している。国内消費においては、ボイル冷凍と玉冷、活貝が主たる商品形態であるが、玉冷と活貝については、前者は回転寿司店、後者は高級寿司店等の外食店を主体に一定の需要がある。ボイル冷凍は、焼きホタテやホタテフライ、鍋もの商材等に利用されるものの、家庭内で食卓にのる食材としての価格帯を大きく上回る水準にまで価格が高騰したことから、その消費量は著しく低下している。

 

④ 対米輸出の停滞

アメリカへのホタテガイ輸出の歴史は古く、中国向け輸出が急増する 2011 年までは輸出金額ベースで最大の輸出相手国であった。2012 年以降も、アメリカ国内の漁獲量が減少している(2014~16 年に漁獲量規制を実施)こともあり、2015 年までは対米輸出は好調な状況が続いた。


しかし、2016 年は対米輸出が停滞しているといわれている。その要因の一つは高価格にあると考えられるが、中国向け輸出が間接的に影響を及ぼしている可能性も考えられる。中国に輸出された「両貝冷凍」の一定量は中国国内で「玉冷」に再加工されてアメリカに輸出されている


つまり、日本からアメリカに直接輸出された「日本産玉冷」と、日本から原料を調達し中国で加工しアメリカに輸出された「日本産・中国加工玉冷」が、アメリカにおいて競合している可能性がある。加工コストが安価な「日本産・中国加工商品」は、「日本産・日本加工商品」に比べて絶対的な価格面での有利性があり、こうしたことが対米輸出の停滞にも影響している可能性がある。

 

 

 

1-4 輸出増大が招いた課題

 

(1) 生産面における課題


① 安定生産・安定価格の実現

噴火湾における直近 2 年の高い斃死率は、輸出増大を起因とする生産サイクルの変化が一因となっている可能性がある。2018 年まではオホーツクの減産は避けられず、北海道のホタテガイ生産はそれまで 40 万トンを下回る可能性が高い。オホーツクの減産については爆弾低気圧が原因とされているが、噴火湾の斃死率の上昇についてはその原因究明が明らかでない。人為的な要因も含め、斃死の原因究明とこれへの対策が喫緊の課題である。

 

② 加工業界の 2 極化の解消

中国への「両貝冷凍」輸出については、「ウロ付きのホタテ製品は流通させてはいけない」という北海道漁連の方針に合致しないこともあり、その是非については関係者の意見が分かれるところである。そうした事情を含め、特に噴火湾ホタテガイ仕入れる加工業者においては、「両貝冷凍」輸出を積極的に行う業者と、それ以外の業者に方向性の違いが認められる。噴火湾産養殖ホタテガイの生鮮品流通は一定割合に限られることから、生産者と加工業者が一体となった振興方策が不可欠であり、加工業界の 2 極化は解消すべき課題と思われる。

 


(2) 流通面における課題


① 国内消費の回復

国内マーケットは急激な価格高騰の影響から縮小傾向にある。直近 3 年は、斃死等による低水準な生産と急速に伸長した中国輸出の影響から、需要が供給を上回る買い手市場が形成され、生産量は低水準ながらも高価格であることを背景に、生産者の経営状況は好調である。しかし、輸出においては、海外の生産状況や為替等多様な外部要因が影響することから、海外需要の安定性が保証されるものではない。現状の低い国内需要が継続した場合、万が一、輸出が停滞し、また北海道において 40 万トンを上回る水準にまで生産量が回復した際には、供給過剰による需給バランスの崩壊は避けられない。こうした事態への対応として、国内消費の回復は極めて重要な課題である。


② 国内供給と輸出のバランスの再考

中国輸出が急増する 2012 年頃までは、輸出量は 10~15 万トンに調整され、北海道産ホタテガイの国内供給量は概ね 35~40 万トンで安定していた。2013 年以降、中国輸出が急速に拡大したことから、国内への供給量は急速に縮小し、その結果、価格の異常な高騰から国内需給のバランスが変化しつつある。国内供給を柱に、ホタテガイ輸出のあり方を再検討する必要がある

 

③ ボイル加工の処理能力の回復

噴火湾地区で「両貝冷凍」を製造する加工業者の中には、両貝冷凍の製品比率を高めるため、従来のボイル加工用ラインを削減しているところもある。こうした製造ラインは2~3年使用しないと再稼働は難しいといわれる。こうした背景には、労働力不足の問題もある。雇用労働者が高齢化する中で、雇用労働力の確保が容易でなく、外国人研修生に頼らざるを得ない状況にある。国内供給においては、玉冷とともにボイル製品にも一定の需要がある。適正な価格水準に戻れば、スーパー商材(家庭内需要)として需要の回復が見込まれるボイル製品については、生産・加工体制の回復・維持が課題である。

 

④ 輸出向け「玉冷」需要の維持

中国に輸出されたホタテガイの一部は、中国国内で「玉冷」に加工され、アメリカに再輸出されている。日本と中国の人件費の違いから、日本の玉冷加工業者は価格面で負けている状況
アメリカではクリスマス時期に消費が増える傾向にあるが、2016 年にはこうした状況は生まれなかった。価格ではなく、「日本産・日本加工」の高い品質を付加価値因子とした需要の維持が課題である。

 

 

1-5 課題に対する方策の検討

 

(1) 減産原因の究明による安定生産の推進

ホタテガイの生産・流通対策を検討するにあたり、安定した生産体制の構築が絶対条件となる。しかし、ここ数年のホタテガイの生産においては、主力産地である北海道のオホーツク、噴火湾青森県で立て続けに生産不振が発生し、生産量が安定しない状況が続いている。特に、噴火湾については 2016 年、17 年と大量斃死が発生したものの、その原因は不明である。水産試験場や大学等の研究機関と連携し、斃死原因を究明するとともに、斃死率低下のための対応策を検討・実行し、生産量の安定化を図る必要がある。また、対応策を実行する際、生産者への経済的リスクが発生する場合には、それを軽減する様な公的支援なども検討する必要がある。

 

(2) 原料貝輸出に対する組織的な規制の導入

2012 年以降急増した中国輸出向けの「両貝冷凍」は、薄利多売型の商品であり、加工業者にとって経済的メリットは大きくはない。生産量が低迷する状況においては、「両貝冷凍」の増大により、従来の主力商品であったボイル製品、玉冷製品への原料供給が不足する事態が生じている。こうした状況は、我が国のホタテガイ産業全体からみると、必ずしも好ましい状況であるとはいいがたい。行政主導のもと、「両貝冷凍」輸出に量的規制を導入するなど、組織的な介入を検討する必要がある。

 

(3) 高付加価値商品輸出の推進

近年、養殖ホタテガイの主産地である噴火湾ホタテガイ生産量が減少する状況を受け、従来の「両貝冷凍」から、若干手をかけた状態での輸出(片貝加工など)を手掛ける加工業者も現れ始めている。こうした輸出商品の付加価値化は、産地加工業者において、限られた原料からより多くの利益を生み出す点で経済的メリットが大きい。
また、従来から継続する対米輸出(玉冷)については、日本産ホタテガイを原料とした中国からの輸出商材との競合もあり、輸出量がやや減少しているが、品質面で絶対的な優位性をもつ日本輸出の玉冷商品を高付加価値商品として推進していく方策を検討する必要がある。


(4) 加工業者に対する経済支援

加工業者が薄利多売型の「両貝冷凍」を拡大した背景には、資金的な要因が存在している。
「両貝冷凍」は、原料調達から販売まで 2~3 日程度の商品であり、取引先である中国業者とは現金取引が原則である。産地加工業者の多くは経営状況が悪く、金融機関からの高い利率での借入により資金繰りが逼迫しており、回転率が良い「両貝冷凍」輸出は魅力的な商材であった。
つまり、借入金に対する経済的支援(利子補給など)があれば、収益性の低い「両貝冷凍」にこだわる必要はないと考えられる。

 

(5) 加工業者に対する労働力確保のための支援

多くの漁村の高齢化を背景に慢性的な労働力不足に陥っており、加工業者は外国人研修生を抜きには労働力を維持できない状況にある。付加価値型の加工品を生産するにあたり、機械化による省人化がすすめられてはいるものの、機械化には限界があり人間の手に依存しなければならない工程が多様に含まれている。労働力確保のための支援も付加価値型商品を推進するための重要な要素の一つである。

 

(6) 国内消費回復のための方策

輸出依存の流通構造は、海外の生産状況や為替変動などの多くの外部要因に規定されるため安定性に乏しい。国内生産量が従来水準にまで回復した場合には、国内需要のみでは消化しきれず、需給バランスを保つためには一定量の輸出は不可欠であるが、ホタテガイ産業の安定化においては国内需要の確保こそが重要と考える。価格高騰により喪失した国内消費の回復であり、そのためには適正価格への回帰に資する対策が求められる。