首相がNATO事務総長と会談、安保協力強化を確認「さらなる高みに引き上げていく」
2023/01/31 20:05
岸田首相は31日、北大西洋条約機構(NATO)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長と首相官邸で会談し、日本とNATOの安全保障協力の強化を確認した。ロシアのウクライナ侵略や中国の軍備増強を念頭に、欧州大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分との認識でも一致した。
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NATO事務総長の来日は、2017年10月以来。ストルテンベルグ氏の来日は、5月に広島市で開かれる先進7か国首脳会議(G7サミット)を見据え、議長を務める首相と連携を強める狙いがある。
首相は会談後の共同記者発表で、「自由で開かれた国際秩序の維持・強化のため、日NATO間協力をさらなる高みに引き上げていく」と述べた。ストルテンベルグ氏は「我々は結束し、断固として自由と民主主義のために協力を進めなければならない」と応じた。
会談後に発表した共同声明では、「力または威圧による一方的な現状変更は世界のいかなる場所でも認められない」と明記。ロシアによる核兵器の使用は「国際的な非難及び深刻な結果を被る」と警告した。ロシアと中国の軍事連携への懸念も強調した。
強引な海洋進出を続ける中国を念頭に東・南シナ海での現状変更の試みや威圧への反対で一致し、「台湾海峡の平和と安定の重要性」を確認した。
日本とNATOの協力を「新たな高みに引き上げる」とし、サイバーや宇宙、偽情報への対処などでの協力を申し合わせた。日本政府による北大西洋理事会や参謀長会議への定期的な参加の検討も確認した。
日本とNATOが対中露で接近 宇宙・偽情報で協力強化
2023/1/31 19:49
日本と北大西洋条約機構(NATO)が急接近している。昨年6月、日本の首相として初めてNATO首脳会議に出席した岸田文雄首相は、31日のストルテンベルグ事務総長との会談で、宇宙や偽情報対策など新領域で協力を打ち出した。ロシアのウクライナ侵略を機に、ロシアと軍事連携する中国への警戒感も増し、日本政府とNATOの双方が共同歩調を取る必要性を痛感しているためだ。
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首相は会談で「NATOがインド太平洋地域に関心を高めていることを歓迎する」と述べた。ストルテンベルグ氏は、ウクライナ侵略は「アジアにも影響がある」と指摘し「アジアで起きることは欧州にも大きな影響がある」とも語った。
安全保障に関する役割は広がり、地理的な壁は崩れつつある。日米同盟を基軸に中国や北朝鮮と対峙してきた日本は、欧州で起きたウクライナ侵略に積極的に関与し、対露制裁で欧米と足並みをそろえた。
首相は昨年のNATO首脳会議で「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」と語り、中国の脅威は欧州にとって人ごとではないと訴えた。主に欧州における集団防衛の枠組みのNATOも、首脳会議で採択した「戦略概念」で、中国が「体制上の挑戦」を突き付けており、「インド太平洋地域はNATOにとって重要だ」と明記した。
中国やロシアはフェイクニュースによる世論工作や、サイバー攻撃、宇宙空間での軍事活動などにも力を入れている。会談後の共同声明では、こうした地理的制約を超えた新領域でも協力の推進を確認した。
北大西洋理事会(NAC)への日本の定期参加や、国別適合パートナーシップ計画(ITPP)を策定する方向も決まり、外務省幹部は「日本がNATOの協力体系の中に位置づけられる」と語る。(田中一世)
NATO事務総長が空自入間基地を視察 ウクライナ支援に謝辞
2023/1/31 16:29
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は31日、航空自衛隊入間基地(埼玉県狭山市など)を視察した。ウクライナへの物資輸送を担ったC2輸送機などを見学した後、隊員への訓示で「ウクライナに対する支援を感謝している」と強調した。