政府は天皇陛下の退位に関し、皇太子さまが次の天皇に即位した後も弟の秋篠宮さまの称号を変更せず、「秋篠宮」のままとすることで調整に入った。退位後の皇后さまの称号については、新たに「上皇后(じょうこうごう)」を用いる方向だ。複数の関係者が30日明らかにした。
また、陛下の退位後の称号について、政府は歴史的に使われてきた「上皇」とし、敬称は引き続き「陛下」とすることで最終調整している。退位に関する新たな制度設計は、「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」の議論も参考に4月中にも決定し、5月の連休明けに国会に提出する特例法案に盛り込む。
秋篠宮さまの称号に関しては、有識者会議が22日に行った専門家ヒアリングで、「皇太子」か「皇太弟」のいずれかに変える案が出されていた。だが、秋篠宮家は1990年の創設以来27年たち、国民の間にその称号が定着しているなどの理由から、宮内庁は存続が望ましいとの立場を示しているという。
皇后さまの新たな称号については、22日のヒアリングで複数の専門家から、皇室典範でも用いられている「皇太后」を推す意見が出された。しかし、先代の皇后を指す皇太后には「天皇が亡くなった後に使われる印象がある」との意見が強く、新たな称号を用いる方向となった。敬称は「陛下」が有力だ。
「上皇」は「太上(だいじょう)天皇」の略称とされる。「太上」には「至上」などの意味が込められているとして、正式の称号である「太上天皇」を使用することには「天皇より上の存在がいるようなイメージとなり、象徴の二重性を招く恐れがある」と否定的な意見が政府内に多い。(2017/03/30-19:03)